ここは”とある”地方都市。
国道沿いにひしめくは商業施設の巨大看板。イ〇ン&ユニ〇ロはデフォルトで、100円ショップにスーパー銭湯、リサイクルショップにファミリーレストラン。
その他、生活必需〝店〟が軒を連ねる典型的な地方のロードサイド。
小説『ここは退屈迎えに来て(山内マリコ著)』そのまんま。
そんな場所にポツンと、いや、デデンと建つ大型書店。
そこが私(筆者)の職場です。
こんにちは。
学生時代のアルバイトを含めると実に15年、書店員をやっている、やってしまっている者でございます。
「本屋ってラクそう」「書店員さんって穏やかそう」という世間のイメージに逆行しながら、毎日毎日、有り余る土地を有効活用した横に広い店の中を駆けずり回っています。
因みに担当は「実用書」です。
『鬼滅の刃』に沸くコミックでも、半沢直樹の新刊で盛り上がる文芸書でも、何かと話題作が多いビジネス書でもない地味なジャンルですが、良書がたくさんあるのです。
そこで!
10年以上、実用書に触れてきた筆者が、完全なる独断と偏見そして現場の肌感で、「これいいなあ~」「なんか売れてるなあ~」と思っている本を何回かに分けて紹介したいと思います。
お付き合いいただければこれ幸いでございます。
コロナ禍以降レシピ本がやたらと売れる理由
わざわざ買わなくてもネットで見れるじゃん
いや、やっぱり実際の本は便利じゃん!
コロナ禍以降、実用書の売れ行きにも変化がありました。
レシピ本がやたらと売れる。
もともと実用書においてレシピ本は花形のジャンル。
とは言いつつも、今やネットでなんでも調べられる時代です。
書籍全体の売れ行き低下が叫ばれて久しいですが、レシピ本だって同じ。
それに、「ネットで見られる」の最たるものじゃないでしょうか、レシピって。
しかし、ここにきてググっと好調。
どうやら、ステイホームでお子さんの学校がお休みになったり、在宅勤務で3食おうちでという方が増えたりしたことで、おうちごはんを強化すべくレシピ本の需要が高まったようです。
中でも、SNSやブログで発信されている著者さんの本がよく売れる。
こういった方々のレシピ本に見られる共通の特徴は、「簡単」であるということ。
おうちにある材料で、パパッと簡単に作れるレシピが人気のようです。
それにやっぱり、本だとまとまっていますよね、各著者さんのベスト・オブ・ベストが。
手元のスマホでいくら簡単に調べられても、その情報量の多さに興味があっちこっちへ行っちゃって、レシピを調べていたはずがいつの間にか全っ然関係ない動画を見ていたりして。
本はそんなことないですもん。
開けばそこに最善の選択肢。たくさんの人が、アナログにレシピを調べる方法へと原点回帰したんじゃないかなと思っています。
そこで、書店員の私が1回目にどうしてもオススメしたい本を、皆様に紹介したいと思います。
山本ゆりさん『syunkonカフェごはん』が人気のわけ
中でも売れ行き好調なのが、人気料理コラムニスト山本ゆりさんのレシピ本。
まず、山本ゆりさんといえば、運営されているブログ「含み笑いのカフェごはん『syunkon』」が大人気です。
このブログををまとめた『syunkonカフェごはん』シリーズの最新刊『syunkonカフェごはん7 この材料とこの手間で「うそやん」というほどおいしいレシピ』(ISBN:9784299004383)は、発売と同時に即完売となりました(筆者の店では)。
『何それ!?っていう材料や ないっちゅーねん!ていう食材は使いません』(シリーズ第1冊目の帯より)という山本ゆりさんの信条ともいえる言葉通り、そのレシピは身近で簡単。
レシピに添えられる一言がいちいち全部おもしろく、親近感もマックスです。
因みに「syunkon」とは「春魂」という漢字。
山本ゆりさんが高校時代に所属したバスケ部のスローガンだそうです。
こだわったのは「おいしさ」と「再現性」著者渾身のレンジレシピ
突然ですが皆さんは「料理レシピ本大賞in JAPAN」をご存知でしょうか?
「料理レシピ本」というジャンルの魅力と価値を広く世間に浸透させようと2014年に産声を上げ、今年で7年目を迎える同賞。(2020年9月時点)
先日発表されたばかりの第7回目において、山本ゆりさんのレシピ本も見事受賞されました。
『syunkonカフェごはん レンジでもっと! 絶品レシピ』(ISBN:9784800293541)
受賞作のこちらは、山本ゆりさんのレシピ本の中でも、「レンジで作れる」に特化したシリーズの第2弾です。
人気レシピベスト15をはじめ、肉、魚、めん類にデザートなど、テーマごとに9つに分類された構成で、目的のレシピにたどり着きやすくなっています。
著者の山本ゆりさん曰く「『おいしさ』と『再現性』にこだわり」、「約半年かけた最強レンジ本」であり、レンジだけで作れるレシピが151品も掲載されています。
失敗せずによりおいしく作るための7つのポイントが丁寧に解説されていて、絶対おいしく作れますように!という山本ゆりさんからの愛を感じずにはいられません。
さいごに
重たい本が詰まったダンボールを「よっこいしょー!」と持ち上げて、お会計が混み合えば遥か遠いレジに向かって猛ダッシュ。
1日が終わるともうヘトヘトの筆者にとっても、山本ゆりさんの簡単レシピは身に染みてありがたいのです。
しかもチンするだけとかもう……本当にありがとうございます。
チンする体力もないという日があるにはあるのですが、それは筋トレなどで体を強く保つとして、食に関しては心強い〝強化書〟を手に、筆者もおうちごはんを強化したいと思います。
皆さんのおうちごはんも、簡単レシピで彩られますように!
おわり
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